Ayn Rand Says(アイン・ランド語録)

第24回 税金は徴収されるものではなく喜んで払うもの?(その2)  [11/30/2008]


The question of how to implement in the principle of voluntary government financing---how to determine the best means of applying it in practice---is a very complex one and belongs to the field of the philosophy of law. The task of political philosophy is only to establish the nature of the principle and to demonstrate that it is practicable. The choice of a specific method of implementation is more than premature today---since the principle will be practicable only in a fully free society, a society whose government has been constitutionally reduced to its proper, basic functions. (“Government Finance in a Free Society” in The Virtue of Selfishness: A New Concept of Egoism)


(市民の自主的な支払いによる政府の資金調達という原則を実行するにはどうしたらいいだろうか。また、実際にそれを適用する最上の手段をどうやって決定すればいいだろうか。この問題は非常に複雑であるし、法哲学の領域に属することでもある。政治思想の課題は、原則の本質を確定して、それがちゃんと実施できることを示威することだけである。まだ現在のところは、政策を実行するための特定の方法を選ぶには、時期尚早である。いや、それ以上に早すぎる。なぜならば、<完全>に自由な社会においてのみ、言い換えれば、適切で基本的な機能を果たせるように、きちんと憲法で制限抑止されている政府を持つ社会においてのみ、この原則は実際に有効なのだから。)

★前回の続きです。税金の話です。前回は、不正確なことを書いて申し訳ありません。持つべきものは、ちゃんとフォローしてくれる、できのいい(元)教え子。さすが、私が、このウエッブサイトの管理を任せただけのことはある桃山学院大学文学部OB。「管理人より---主宰者の記述は全面的に混乱し狂っています」と書かれたら、どうしよう。

★しかしですねえ、私程度の迂闊なふつーの人間が、スッと理解して記憶できないような、ややこしい税制度は間違っているんですよ!税金を払っている人間にとって、わけがわからん税制度&税徴収法ってのは、うさんくさい。ことわりもしないで前もってさっぴく源泉徴収制度とか、猛烈におびただしくあり、かつドンドン増える各種の税とか、決して国民に知らされない宣伝通知されない各種控除とか、その控除手続を年末調整と称して、国税庁や税務署ではなく、企業がやることとか、みな、うさんくさい。

★年末調整のおかげで、勤務先人事課に、社員や従業員は私生活状況がバレバレです。誰が離婚して、誰の女房がどこで働いていて、誰のガキは大学出ても、いつまでも親の被扶養者でニートだとか、誰んとこに無年金の親がいて、いつまでも生きているとか、誰が巨額の保険に入っているとか。だいたい、国税庁や税務署がするべき仕事を企業にさせて、ほんとに大蔵省とか財務省って悪知恵だけはすごいです。誰も幸福にしない知恵だけが働くというのは、学校秀才の常でありますね。

★税制度をややこしくして、ひたすら国民の目をごまかして、ドサクサ紛れに税法改悪を実施し、こっそり、しかしエラソーに国民から収奪することしか考えていないのは、日本の政府だけではありません。「政府」というものは、もともと、そういうものなのです。第17回で指摘したように、「政府は別れることが不可能な(潜在的)DV男」であります。ついでに、「女房が稼いだ金を収奪して好きにばらまいてエラソーな顔したがる、寄生虫のくせにパトロンの顔したがる駄目ヒモ男」なのです。

★市民革命が起きた原因は、超単純に言えば、「王とか貴族とか、別にこいつら特別な人間じゃない。私らと同じ。私らと同じでアホ。私らが、年貢だの租税だので、このアホたちを食わせている。同じアホならば、私らが合議制で政治やったほうが、ましなんじゃないか?まだ私らの損が少ないんじゃない?アホに好きにされていることはないよ」ということであります。

★市民革命を経験しなかった日本人の心の奥底には、「お上を信じてお任せすれば、よきにはからってくれるだろ〜〜」という無自覚な期待があります。「天命思想」(天が選んだ統治者徳のある王が天から命を受け、国を治める。天命を受けたものが皇帝となり、徳の無い政治をすれば、天命は別の人間に下り王朝の交替が行われる)の残滓(ざんし)があります。この思想は、アジア的停滞の原因のひとつですね〜〜

★「政治家とかエリートとか高級官僚とか言っても、基本的には我々と同じ人間であり、アホである。小賢しい悪知恵はあっても、ものすっごく聡明なことはないし、倫理的でもない。これが現実で真理。選択肢はふたつしかない。アホの他人に任せてひどい目にあうか、自分のアホさ加減の範囲で生きていくか、どちらかを選ぶしかない。市民革命というのは、要するに、自分のアホさ加減の範囲で生きていくことを選んだ人民の意志と、意志通りに生きる権利の是認と実現」という認識が、日本人の多くに欠如しているのは、しかたないです。

★なんでかというと、日本人の多くが、「お上」の上位概念であるような、世俗の権力を相対化する視点とか視座が希薄であるので(=思考習慣、もしくは真の教養がないので)、「お上」なんて構築されたものでしかなくて、「この世のうたかた」でしかなくて、都合の悪い「うたかた」ならば、ぶっ壊していいし、作り直せるという考え方を、受け入れて内面化していないからでありますね。

★それは、やはり、自分が生きているということが、ほんとうには腑に落ちていないからではないでしょうか?自分の人生のかけがえのなさを、ほんとうには心の奥底で感じていないからではないでしょうか?いい人生を創りたい、それができる社会でないと困るから、そういう社会が形成されるように、自分ができることをやろう、死ぬときは、自分が生きる闘いの軌跡を振り返って、「よく、やってきたな」と思いつつ元気に陽気に死にたいとは、思っていないからではないでしょうか?みなさん、ここらあたりを共感していただくために、12月10日頃発売の、The Virtue of Selfishness: A New Concept of Egoismの拙訳『利己主義という気概---エゴイズムを積極的に肯定する』(ビジネス社)を、お読みください!

★いや、自分の人生を大事に思っている人々は多いとは思うのですが、そういう人々のかなり多くの人々が、どーでもいい文化生産物享楽娯楽活動(=暇つぶし)に走っています。つまり「世界内存在」にとどまっています。こういう中途半端な視野狭窄の教養人&文化人ってのが日本に多いのは、なんでかな。教育の失敗だな。教師の私が悪いんだわん。まあ、人口の8割はそんなもんか。

★何の話でしたか?そうです、税金の話です。税金といえば、森木亮(あきら)氏の一連の税金問題の本、『日本は破産する』(ビジネス社、2007)、『これからの10年財政敗戦への道』(PHP研究所、2008)、『日本はすでに死んでいる』(ダイヤモンド社、2007)、『日本国増税倒産』(光文社、2008)に、副島隆彦氏の『重税国家日本の奈落―金融ファシズムが国民を襲う』(祥伝社、2005)などを、是非ともお読みください。いかに内容が、あなたにとって不快でも、お読みください。テレビや新聞はあてになりません。真実や事実を報道するはずがない。リアルな事実を知りたければ、お読みください。

★そうすれば、「政治家とかエリートとか高級官僚とか言っても、基本的には我々と同じ人間であり、アホである。小賢しい悪知恵はあっても、ものすっごく聡明なことはないし、倫理的でもない。これが現実で真理」と、深く苦々しく、あらためて納得できるでしょう。同時に、そんな人々に無自覚に過剰な期待をし依存している自分の奴隷根性にも、あらためて気がつくでしょう。ほら、実人生でも、面白いことに、男に依存したがる可愛らしい女らしい女性ほど、男運が悪いでしょう。しょーもない男に貴重な人生を蹂躙されています。依存は、冷静な観察の目を曇らせます。「何も期待しないときこそ、相手の姿が見える。なぜか、勝手な女ほど幸せな人生を送っている」と、カール・ヒルティ先生も『幸福論』で述べておいででした。ほんとだって。

★政府を構成する政治家や官僚たちは、個人としてはさておき、役割は、どうしたって、「女房が稼いだ金を収奪して好きにばらまいてエラソーな顔したがる、寄生虫のくせにパトロンの顔したがる駄目男」になるのです。それ以外に、なりようがないのです。必ず腐敗します。人間が、今の水準の人間である限り、そうなるのです。政治家や官僚の倫理度、道徳内面規制度を、前もって測定する機械はないのですし、最初は倫理的であった人々も、公金の使い方に鈍感になり、ついには無責任な浪費に走るのです。

★故高坂正尭(こうさか・まさたか)京都大学教授は、かつて、「現実の世界には、親切な重税国家か、冷酷な軽税国家しかないから、国民は、どちらかを選ばないといけない」と言いましたが、何を甘いこと言っているのか。ほんとに寝ぼけています。真実は、「現実の世界には、冷酷な重税国家か、冷酷な軽税国家しかない」のです。

★たとえば、今でも日本は十分に重税国家です。それに気がつかないのは、税金情報不足です。すごいんだから、日本の税金の種類の多さと新設税金の多さは。日本の給与所得者の給与における税金(社会保険も入れて)支出率は平均40%ですが、各種の間接税をいれれば、60%は確実でしょう。

★これだけ、国民から金を収奪したいばかりなのに、それしか考えつかないくせに、政府は、なぜ、私人の民間の高額納税者に感謝状を出して、「税金をいっぱい払うことはカッコいいことだ!」的風潮の育成をしないのでしょうか?竹田和平氏とか斎藤一人氏などの、税金をいっぱい払うことこそすれ、税金に寄生など決してしない立派な実業家の方々を賞賛することこそ、重税国家日本の政府がするべきことです。なのに、つまらん国会議員や国立大学教授や役人や裁判官なんかに叙勲しています。公僕が公のために働くのは当たり前で、立派でもなんでもないのに。

★「重税ではあるが、みなさんの収入の最低半分から85パーセントまではいただきますが、やるべきことはやりますから、大丈夫です。信じて払ってください!」なんて、政府が国民に言えるような状態ではないです、今の日本の財政状態は。国家破産への方向に向かって、ひたすら走っています。

★そりゃ、国が破産したって、国民は生きていきます。日本が消えたって、日本人は生きていくでしょう。でも、それとこれとは別です。ここでは、「できもしないことを請け負って、エラソーにカネを徴収しておいて、結局は浪費して、借金を重ね、破産寸前ではあるが破産宣言はせずに、国民に尻拭いをさせはしても、自分たちは絶対に責任はとらないように画策している政治家と官僚と、その事実を直視しない国民について認識するための税金の話」をしているのです。

★以下は、前述の何冊かの税金問題本&インターネットからの情報です。日本は、税収では足りない分は、国債発行でまかなってきたわけですが、普通国債残高は2008年度で、553兆3100億円で、日本の国内総生産GDP(GNPじゃないよ)より多いのです。GDPは、ここずっと毎年下降していますが、だいたい約500兆円です。うわ・・・この553兆3100億円という国債残高は、税収の53兆5000億円の10倍以上です。うわ・・・

★ちなみに、2008年度の一般会計・歳出総額は83兆613億円で、国債発行予定総額は126兆円2900億円だそうです。家計に直せば、年収が832万円あるのに、1263万円の借金をしないとやっていけないのですね〜〜日本は。分不相応なことしてきたんだな〜〜無駄使いしまくってきたんだな〜〜♪

★553兆3100億円という日本の借金は国債だけの話です。日本政府の債務総額は1059兆円で、そこに特別会計という(官僚の運用失敗と、ハコ物大型公共建築物建設と、その赤字経営尻拭いと、役人の天下り再就職先確保用に使い散らかされて残っていない)郵便貯金と簡保と年金積立金をあわせると、1816兆円だそうです。

★1816兆円の借金です。1816000000000000円です。ゼロが12つきます。日本人口1億3000万人で割ると、生まれたての赤ちゃんから死にかけの老人まで、一人頭約1397万円の借金です。計算はあっているかな?この借金、もっとこれから増えます。

★1816兆円。これは、私には、もうわけがわからない数字です。こういう借金をチャラにするには、ひたすら子孫にツケを積み残して食い逃げするか、ひたすら重税で国民の資産収奪か、「預金封鎖」して国民の資産収奪か、戦争でも起こしてドサクサにまぎれて国民の資産ばかりでなく生命も収奪するか、国家破産宣告してIMFの管理下に入って、破産処理緊急政策を取るしかないそうです。IMFというのは、ワシントンDCにある国際通貨管理機関(International Monetary Fund)のことですね。うわ〜〜日本は、自分で自分のケツが拭けないんだ〜〜と国際社会で馬鹿にされますね〜〜♪

★IMFの管理下に入っての破産処理緊急政策というのは、森木亮氏の『日本国増税倒産』(234-35)によると、以下のようになるそうです。
1. 公務員の総数、および給料の30%カット、ボーナスはすべてカット
2. 公務員の退職金は100%カット
3. 年金は一律30%カット
4. 国債利回りは、5年から10年停止
5. 消費税を15%引き上げて20%に
6. 課税最低限を年収100万円まで引き下げ
7. 資産税の導入
8. 預金については一律ペイ・オフを実施。第2段階として、預金を30%から40%カット

★この公務員の中には、もちろん国家議員も入りますよねえ?資産税って何か?すでに、導入されているのではないか?ともあれ、上記のことは、日本人として覚悟しておいたほうがいいです。しかたありません、そんな政府を許してきたのは私たちですから。自業自得です。今から小食に慣れて、外国から食糧を買えなくなる日本の未来に備えましょう。貯金しても収奪されますから、大いに使って、自分に投資して、国の財政が立て直されてから、銀行も信用できるようになってから、バリバリ貯めましょう。私は、そうしています。ははは。

★10年もすれば、陽は、また昇る。もう騙されないように、ほんとうの勉強をしましょう。私たち国民がアホだから政府やマスコミに騙されるのです。

★しかし、上記の1と2の公務員削減対策だけは、実施しない可能性が大きいですね、この国は。実施しても、削ってはいけない義務教育や福祉施設の現場から削減になるでしょう。そうなると、ひんぱんに、官僚や元官僚や、その家族が殺害されるかもしれません。嫌がらせの放火もあるでしょう。官庁にテロもあるでしょう。それは、自業自得です。振り込め詐欺犯の方々は、もっぱら官僚OB&OGを狙ってください。国民的支援があるでしょう。

★まあ、どちらにしても、冷酷なのが国家なのですよ。同じ冷酷ならば、カネは取られないほうがいいです。自分の失敗は納得できるが、他人である政府の政治家や役人の失敗は納得がいきません。できもしないことを、できるふり&やっているふりして金を取るのは詐欺師です。「必ず君を幸福にするよ」なんてポロポーズで言う男がいたら、そいつの本質は詐欺師です。そんな言葉を鵜呑みにする女は低脳です。そんなこと言われたら、「こいつは馬鹿」と、即座に却下するのが、まともな(decent)女です。「あなたの人生を引き受けるわけにはいきません。基本的には、あなたの幸福は、あなたが自前で作ってください。僕にできることは、僕ができる範囲であなたに協力することであり、あなたの邪魔しないことです。あなたも僕の邪魔はしないでくださいね」という男こそ、「誠実」であります。何の話か?

★ともかくも、国家は冷酷なものだからこそ、国家の力を巨大にしてはいけないのです。なんでもかんでも国家にお任せしていたら、とんでもないことになるのです。国家への期待と依存は、奴隷への道です。あ、奴隷の方がいい?北朝鮮に亡命したら?

★私たちに必要なのは、できもしないことを、できるふりして、嘘で固める見栄っ張りな寄生虫&詐欺師&強盗としての政府ではなく、責任持って、生命と所有権は暴力から守りますから、あとは各自やってください、邪魔はしませんからと、正直に言える法に従属する政府を作ることなのです。

★「夜警国家」しか必要ないのですよ。それでも、「夜警」が強盗に変わる可能性だってあります。そこは、油断してはいけないです。しかし、どっちみち、個人や結社で物理的強制力排除装置である軍や警察や裁判所を運営するのは無理があります。個人がいつも武装して強奪や暴力と戦っているのでは、他の意味ある活動ができません。個人の権利侵害になる物理的強制力を抑止する物理的強制力を委託しておく機関が必要ということで、「夜警国家」の概念が生まれたのです。アイン・ランドが言う、「完全に自由な社会」とは、そういう、契約社会、市民政府、夜警国家の純粋形のような社会です。

★そのような自由な社会になったのならば、国民は、喜んで税金を支払うだろうというのが、アイン・ランドの趣旨です。納得ですね。

★夢物語?そうでしょうか?私は、5世紀あとには、実現していると思います。10世紀あとには、税金がない時代になっていると思います。いずれは、そういう時代が来ると思います。それはそれで、苦しみや問題が人間世界から消えることはないでしょうが。

★ただし21世紀初頭の私たちは、残念ながら、まだまだ、しょうもない政府につきあい、無責任な役人たちの腐敗の被害を受けることになり、その政府や役人とつるんで利権をあさる人々に迷惑をかけられます。それでも、私たちは、未来へのヴィジョンを得ました。奴隷のまま死ぬのではなく、家畜のように、何もわからないまま殺され食われるのではなく、「生きている死体」として処理されるのではなく、自由な人間として生きることを選べるのです。結果がどうであれ、生きているときは、生き生きと自由でありたいものです。