アキラのランド節

民族資本と外資の間で揺れる私 [05/03/2002]


かねがね、よくわからないことがある。なんで40代やそこらから同窓会なんてやるのか?東大の同窓会とか、灘高校の同窓会ならば、これは異業種交流会になる。人脈再確認や情報交換にもなる。しかし、田舎のどうでもいい高校や、田舎のどうでもいい大学の同窓会など、集まっても退屈なだけだろう。なんでやる気になるのか。集まって、思い出話に花を咲かせていられるほど、余裕のある立場なのか。そんな優雅なことしていられるほど、成功しているのか。成功者にそんな暇があるとは思えないが。「なんで出席しないの〜〜?」というような電話がかかってきても、「そんな暇ないよ。時間の無駄でしょう。あんたたちと会っても、面白くないよ。」と、欠席の理由を正直に言うわけにもいかない。だいたいが、高校生や大学生の頃から、前途洋々のつもりで輝いているはずの頃からくすんでいた連中が中年になって集まって、何するのか。くすんだ凡人が集まって、何か面白いことがあるのか。私は、高校の卒業式の日に勝手に同窓会幹事にさせられたけど、一度も開いていない。そんなもん、90歳過ぎにでもやればいいのだ。自分のルーツを大事にする?聞こえはいいけれど、自分がそのルーツをもっている事実と、そのルーツが自分の現在にどう関わるのかは、別問題だ。そのルーツが、現在の自分にメリットが何もないのに、なんでこだわる必要があるのか。

同窓会のことに関連して、なにゆえか、ほとんどこじつけなのであるが、私は自分が日本人であること、そのルーツにこだわることのメリットを考えてしまう。簡単に言いますと、私は、最近ほんとに民族系資本と外国系資本の間で揺れているのであります。一消費者にとっては、民族系だろうが外資系だろうが、使い勝手がいいこと、選択の幅が広いこと、便利なこと、サーヴィスがいいことで、商品を選ぶからさ、日本を愛する日本人でも、はっと気がつくと、しっかりささやかにグローバリズムに加担していることになるのよね。で、これはいけないなあ〜〜と思って、民族資本に金を出そうと思うのだけど、これが出す金に見合わない、割に合わない、ratioにかなってない(ratioに関しては、ここのリンクに張ってある「副島隆彦の学問道場」の「今日のぼやき」有料版見てくだされ)、という気がするわけよ。

だって、やはりあなた、シティーバンクのオンラインは使いやすいでっせ。手数料いっさいとらない隠れ外資系ネット銀行も出てきたな。UFJ(Unfortunate Joint?)銀行なんか、三和と東海が合併?どうぞ勝手にやって下さい、どちらも行員が感じ悪いからお似合いなんではないの?てなもんだが、合併後のオンライン操作は、前よりも面倒くさくなった。個人が記憶しているIDやパスワードだけではなくて、乱数票みたいな小さなカードがないと振り込みもできない。このカード失くしたら、再発行料1500円だってさ。そんなに大事なものなら書留で送ってよ。うっかり捨てるとこだったじゃないか。全く、よけい不便にするなんて馬鹿じゃないの?別個のシステムを無理に合体させても、パスワードの読み取りなどで故障が起きるから、ああいう形にしたか。まあ、消費者にとっては不便になってもいいというわけか。まあ、「みずほ」よりはましか。「みずほ」なんて、しっかりみんな口座解約すればいいのだ。当然だ。ふざけやがって。

本だってアマゾンのネット販売の買いやすさの前に、「紀伊国屋書店」も「じゅんく堂」も「丸善」も負ける。民族資本系ネット通販システムはほんとに、かったるい。ましてや、大学生時代から買っていた近所の洋書店から購入することなど、全くなくなってしまった。そのお店の前を通れないよ。私が最初に出した翻訳を出版してくれた地元の出版社兼書店からも、もう全然買ってない。しかたないんだよねえ・・・申し訳ないなあ・・・とは思うけれども、義理や人情よりも便利さを選んでしまう。欲しいのは商品で、人間関係じゃあないからさあ。義理と人情が通用するのは、土着日本人世代のベビー・ブーマーまでだって。そんなもんに依存してビジネスはできないって。

衣類のネット通販でも、アメリカ系のは配達も早いし、いつ返品してもいいし、サイズは豊富だし、パンツは無料で裾上げするし、苦情をメイルで送ればすぐに返事が来るし、第三世界を徹底的に搾取して縫製しているので安い。まともな大人が、いちいち買い物に街へ出かけていられない。バーゲンのチラシなんか吟味している暇はない。そりゃ、ネット通販の衣類の布地とか縫製は上質とはいえないけど、グローバル・スタンダードだから、パターンやデザインは、民族資本系のそれよりカッコいいよ。ニューヨークやパリやロンドンのOLと同じジャケットなんだから。いくら安くてもネット通販も充実していても、「ユニクロ」みたいにセンス悪いままでいたら、いつまでも売れるはずない。なんだ!?あのソルトレイク・シティ冬季オリンピックの日本選手団のユニフォームは?国辱だ。許せん。寄付ならなんでもいいというのか?なぜ、どこの新聞もあの国辱を書かなかったのか?テレビのワイド・ショーで他人のファッションけなして稼いでいる双子の初老の男性タレントの片割れがいるが、彼も何も言わなかったな、あの生中継特別番組では。そのへんの奥さんやお嬢さんのファッションの悪口言うぐらいのこと、誰でもできるよ。どうして、あの「ユニクロ」着せられた日本人選手の哀しさを指摘しなかった?

どんな高いもの買っても、どうせ飽きる。一生ものなんて、ありません。普通の労働者にはデザインが良くて安くて機能的で入手しやすくて二年着倒せる商品ならば、けっこうであります。やっと最近、日本の衣類のネット通販もアメリカ系通販のサーヴィスの真似し始めたけれども、フットワークはまだまだ重い。消費者主体ってのが、いまだに身に染みていないようだ。民族資本系デパートのネット通販は最悪だ。ネットは使いにくいし、商品配達は遅いし、センスは悪いし、誰が相手にできるか(あ、梅干とかは買います・・・)。暇もてあました有閑マダム相手にしていた癖が、この期におよんでも抜けないのか?まあ、デパート自体は現代の都市の散歩コースとしては機能しているが。商品のディスプレイはお花畑みたいな風景ではありますが。だから、暗い重いオジサンを販売員として置かないで欲しい。

たとえば、かつてアメリカの大学の日本支店というか日本分校が話題になったけれども、ああいうのは日本の文部科学省的には、専門学校でしかなくて「大学」ではないので、入学生も少なくて採算取れなくて撤退してしまった。しかし、アメリカの大学の日本進出はこれからかもしれない。たとえば、英文科なんてアメリカの大学にout sourcingした方が教育効果は大きいでしょう。最低でも一年は、アメリカの大学やそこの付属の英語学校に放り込んでおけば、今の機能不全の日本の大学にいるよりは、確実に効果があるだろう。日本にいて親に甘やかされて携帯電話いじくっていても、しかたない。陸の孤島みたいな、とうもろこし畑の真ん中みたいなアメリカの中西部の田舎の大学に送り込まれたら、もう勉強するしかやることないしなあ。Willa Catherの小説の世界もしみじみわかるよねえ。

私は、かつて教授会で、僕はアカデミックな文学教育を受けてきたから、スキルとしての英語教授する素養がないので教えられないとかほざく同僚に対する嫌味で、「アウト・ソーシングで英会話学校に学生教えてもらった方がいいんじゃないか」と意見を言って、年配の教授に「自分で自分の首を絞めるようなことを言うな。」と怒られたことがあったな。あ、そういうことになるのか。馬鹿だね、あたいは。どのみち、このままいけば、日本の大学という民族資本も外国系資本に押されていくよ。学生とその親たちが、一消費者として、払っている金に見合うだけの内容が民族資本系大学にないと明々白々にわかってしまい、かつ外国の大学の日本校が「大学」と認定されればね。国が、私立国立問わず、学生に奨学金をうんと出して、親が学費出さないようにして、奨学金は卒業後長期で無利子で必ず返却させる、という形にでもすれば、民族系大学のサバイバルもありえるけど。

そうか、なくなっても誰も困らないような、無意味なことばかりやって威張っているあの文部科学省は、ひょっとして民族資本系教育機関を守っているつもりかもしれないなあ。奨学金のことはさておき、外資系に圧倒され吸収合併される前に、民族系資本の大学の主体的な外資系取り込み策の実践が必要なんだけど、こういう大学行政になど関わると、自分の時間がなくなるからなあ。商品としての自分に付加価値つける時間がなくなるからなあ。私は、このさい知らん顔していよう。日本の貧乏大学では、学長になっても1000万円の特別予算さえつけてもらえないからね。それぐらいの金がないと、卒業生の就職先確保のための企業トップたちとの人脈作りでさえできないでしょう。難波あたりの居酒屋や心斎橋のスナックに、国会議員や財界人を呼べるか?つーの。やはり新地の豪華なクラブよね。私の昔のゼミにいた超美人がアルバイトしていた店には、銀行の頭取とかの客が多いとか聞いたな。すごい美人を置いているそうだ。一度見学したいものだが。何の話か?

ともあれ、一消費者としては、民族資本維持のために不便をしのぶ気はないのよね。外国資本と戦って民族資本が負けるとしたら、それは負けるべくして負けるんだよね。それを不正だの侵略だの言っても始まらないのだよね。消費者から見ると、苦労して稼いで出した金に見合わないサーヴィスしか受けられないのならば、日本を愛しつつも、日本の組織に金は落とさないんだよね。これ、責められる?これ、いけないこと?これ、近視眼?これ、非国民?これアメリカ化?これ、精神の貧困?これ、大衆の愚かさ??

何かなあ・・・グローバリズムって、やはり勝ってしまうのかなあと・・・思いつつ今日も、アメリカ系ネット通販のクリアランス・サイトを開ける私。この9800円のブレザーなんていいよねえ〜〜