アキラのランド節

「大阪アメリカ村」に行って考えたこと [11/05/2006]


11月であります。Novemberであります。私の一番好きな月であります。例の「桃山ロリータ」とアメリカ村に行ったことに関する報告を、みなさまには、まだしておりませんでしたので、書きます。アイン・ランド伝播サイトなのだから、知的な有益な情報はないのか!というつっこみは無視します。そんなもんタダで誰が提供するか!

堺市は鳳の「だんじり」を前回の「ランド節」で取り上げたら、「岸和田だんじり会館」のウエッブサイトのURLを知らせてきた学生がおりました。あいつ、岸和田市在住だったのか・・・泉州で、ある地区だけの「だんじり」を褒めると、うるさいという一例でありますね。来年の9月は岸和田の「だんじり祭り」を見に行きます。岸和田のある町の「だんじり」の彫り物は、『信長公記』を素材にしているそうです。中世風木造戦車もどき「だんじり」の頭部分には、攻める側の明智光秀軍から本能寺を見た景色、お尻部分には、攻められる側の信長から明智軍を望む景色が彫られているそうです。これはすごい!絶対に見なければなりません!

その後、聞いたところによりますと、『古事記』とか『日本書紀』系素材の彫り物も多いそうです。ならば、『神皇正統記』系素材はあるんでしょうかね?ありそうな気がする。100年後の「だんじり」の彫り物に「日露戦争」ものや「太平洋戦争」素材は出てくるのでしょうか?「ビルマの自転車部隊」とか、ゼロ戦(零式戦闘機)とか、戦艦大和とか。惨め極まりない負け戦でもいいから、歴史を大事にしましょう〜〜現代の礎となって死んでくださった方々への愛惜と感謝を忘れないようにしましょう〜〜

アメリカ村の話でした。「鳳のだんじり」見学の翌々日10月10日です。桃山が臨時休日の日でありました。「だんじり」追いかけて歩きまくって間もないのに、アメリカ村を歩き回ったものですから、足にマメができました。スニーカーなのに、なんでマメができるんだ?

もう〜〜繁華街って、くたびれますね〜〜空気悪いしさあ〜〜私の生活と人生は、繁華街に縁がありません。まれに盛り場なんか歩くはめになると、気分が悪くなります。お酒出すお洒落な粋なお店で、「グラスを傾けてオトナの話」なんか、したことありません。生涯しない。オトナの話って何だ?GNPとGDPの違いとか?アルコールが入っても、話題の水準を保てる類の人間は、ああいう場所にたむろしている暇はないよ。窓から降り注ぐ陽光を感じながら、ウーロン茶飲みながらお好み焼きを焼きながら、『アキラ』や『攻殻機動隊』やアクション映画の話をしている方が、ましだな。世間知らずで視野が狭くて幼稚で野暮?いいですよ〜〜結構でありますよ〜〜世間知らずで視野が狭くて幼稚で野暮ですよ〜〜知っても意味のない、「しょうもない世間」というものもあるよ。

そう、アメリカ村ロリータ・ファッション系お店めぐりの話です。「桃山ロリータ」は、ピンクのウサギのリュック背負って、ピンクの長い耳がついたウサギのヘッド・ドレス(と言うのか?)で頭を包み、ピンクと赤のイチゴがついたフリルのいっぱいついたジャンパースカートに白いブラウス着て、ワイン色の靴はいて、待ち合わせ場所の高島屋難波店ルイ・ヴィトン前に登場しました。彼女はちょっと遅刻してきたのですが、彼女の友人で私のゼミ生の女の子と私は、「だんじり」の話で盛り上がっていたので、気になりませんでした。ただし、そのゼミ生は、泉州は泉州でも、「だんじり」系祭り地区ではなくて、「ふとん太鼓」系地区出身者でありますが。いろいろあるんだよ、泉州の祭りは!

「桃山ロリータ」と連れ立って、難波の商店街を心斎橋方面に向かってアメリカ村に向かって歩いていると、確かに通行人の視線が突き刺さります。特に、中年のオバハンたちが、じろじろと見る。観光客らしい外国人が、びっくりした顔で見つめている。ははは・・・白人の男性が、こっそりデジタルカメラで写真を撮っていた。

最初に、案内されたお店は、「危機羅羅屋」(ききららや)という、ロリータ系ファッションをするための体型補正に欠かせない「コルセット」のお店でした。コルセットというのは、胴着ですね。編み上げブーツみたいに胴をヒモで締め上げる下着です。華奢で可憐な、いかにも繊細な少女チックな体つきは、下着選びから始まるらしいです。ブラジャーとコルセットとガードルいっしょにしたようなもので、ボディー・スーツというものも売っていた。あんな小さな下着におさまる人体があるのか?若い女の子って、こういう下着があたりまえの日常を送っているのだろうか?異文化であるなあ・・・と、私は感心する。コルセットとかボディー・スーツなるものを、しげしげと見学してから、次の店へ移動。

次のお店は、「Heart In」です。ベタなロリータ・ファッションのお店で、なんとなくお子様っぽかった。中学生か高校生ロリータ向きだな。

次のお店が、「Jane Maple」です。そう、アガサ・クリスティの有名な「オバサマ探偵」の名前由来ですね〜ですから、当然、英国調です。もしくはアメリカ東部ボストン風。ここのお店の商品の価格は、ロリータ系お店の中では、比較的お高いです。それだけ、上品で洗練されていて知的な趣もあり、しっかりした作りの感じです。ペラペラ、チャラチャラしてないから、40代くらいの女性でも着れると思う。ここの商品は、私に娘がいたら着せたいなあ〜〜♪ 案内役のお嬢さんがたふたりには、前もって、ガイド料&取材協力費として「X万円までの予算で、お洋服買ってあげる」と言っておいたのですが、ふたりとも、ここの商品には関心がなかったようであります。「ねえ、これどう?」とか、「ねえ、このセーター、あなたに似合いそうだけど?」とか、けっこう焚きつけたのでありますが。残念・・・なかなかママの思うようにはなりません。

次は、例の『下妻物語』の桃子ちゃんご推薦の「Baby, the Stars Shine Bright」です。商品は白かピンクか甘い水色ばかりです。黒いレースのワンピースも少しある。デザインも「Jane Maple」ほどClassyではなく、「Heart In」ほどベタではなく、ロリータ・ファッションとして過不足がありません。スッキリ無難系ロリータですね。

可愛い店員さんが3人出てきたので、私は「正社員でらっしゃる?」とか「どんなふうに雇用されたのですか?」とか「何年ぐらいお勤めですか?」とか、質問する。店員さんのほとんどが、アルバイトだそうだ。正社員なんて、ほとんどいないそうだ。お客さんが、なんとなくノリでアルバイト始めて、ずっとやってます〜という感じらしい。ピンクのワンピースとヘッド・ドレスが似合う肌の綺麗なアンティークのお人形みたいな美人の店長さんに、「店長さんって、どうやって選ばれるのですか?売り上げですか?」と質問したら、その人形風店長さんは、「なんとなくです。前の店長さんがお辞めになったから、自動的になりました」と、静かにお答えになりました。

お店を出てから、「桃山ロリータ」が「あの方、私と同じ寅(とら)年なんです。ひと回り上の・・・絶対にそうは見えないでしょ!?内緒ですよ!」と教えてくれた。え?それぐらいには見えるけど?いまどきの若い子ならば、30歳ぐらい過ぎないと、あれだけの落ち着きは出ないよ。そんなもんじゃないの?現在の日本人は、35歳までは少女&少年です。45歳までは青年だね。今の日本では、45歳ぐらいにならないと、大人って感じにならないです。45歳過ぎないと、オトナ扱いしてやらないよ〜〜むふふ。

ここまで来たところで、「桃山ロリータ」が、私に「センセイって、サイバー系ファッションがお好きなんじゃないですか?」と訊ねてきた。「サイバー系ファッション」って何だ?意味がわからないけれど、「うん、好き」と、私はテキトーに無責任に答える。「じゃあ、センセイのお好きな感じのお店に行きましょう!その前に、面白い和のテイストのお店がありますから、そこに寄ってからにしましょう!」と「桃山ロリータ」が提案するので、素直に私は従う。

で、連れてこられたのが、「gouk」というお店。お店の扉は、ガラガラと引いて開ける格子戸です。お蕎麦屋さんではないですよ。このお店は良い!!龍がモチーフで、各種のドラゴンが赤や金の糸で刺繍された黒系の、和服に使用するような趣の繻子系の布地のシャツやスカートやパンツがいいです。龍がモチーフっていいなあ!私も、龍のデザインは大好きです。このお店ならば、ニューヨークでもロンドンでも「ジャパネスク」で、受けるのではないかなあ。「桃山ロリータ」の友人である私のゼミ生のお気に入りのお店だそうで、その日に彼女が来ていたコットンの白いカーディガンとカット・ソーのアンサンブルも、そのお店の商品だそうです。確かに、カーディガンの背中に黒いドラゴンがプリントされていた。なるほど、なるほど、いけてますね〜〜♪

ものすっごく素敵な赤いセーターがあったので、そのゼミ生に試着を薦めたら、彼女は、前から狙っていたという華やかでカラフルな帯地と黒繻子を組み合わせたみたいなロングスカートと合わせて試着室から出てきた。とってもよく似合っていた。彼女には、このセットに、若い「イケ面店長」さんお奨めのチャコール・グレーのマフラーを合わせて、プレゼント。ちょっと、ささやかながら、援助交際のオッサンの気分を私は味わう。「このまま着ていったら?」と私が言ったら、彼女が「このスカートには、ブーツか赤か黒のエナメルのスニーカーでなきゃ駄目ですから、着替えます」とのことでした。なかなか難しいね。

私は、自分用に赤い糸で龍が刺繍された黒いリュックを購入。ただし、このリュックの肩にかけるベルト部分は、チャチだから、実用にはなりません。本だの傘だのお番茶の入った水筒だの、いろいろとリュックに入れて出勤する私は、リュックにはうるさい。ベルト部分は、しっかり、ごつくないと駄目。この「gouk」のリュックは、装飾用ですね。

今は、だから、このリュックは、たまに私が「地上の星♪」とか「遠くに行きたい♪」とかを弾いている安売りのカシオのキーボードの上に、意味なく広げて置いてある。

私が、鏡の前でこのリュックを背負ったときに、「桃山ロリータ」が、「あ、センセイ、その背負い方は駄目です。それはアキバ系の方の背負い方です。もっとリュック部分が腰のあたりまでに来るようにベルトを長くしてください」と言って、ベルトを長く調節してくれた。へ〜〜普通にしっかり背負うと、「終戦直後の買出し」ではなく、「秋葉原電気店街を歩いているオタク系の男の子」みたいだから、いまどきのファッションにうるさい子たちは、わざとリュック部分を低くするのか〜〜勉強になったなあ!

で、このお店の上にある屋根裏部屋みたいなお店が、「桃山ロリータ」が、私が好きであろうと推測した「サイバー系ファッション」のお店の「H.Naoto」です。なんか、GACKTっていうお化粧している男性歌手のお気に入りのデザイナーのお店だそうです。ここのどこが「サイバー系」なのか、全くわかりません。サイバーってCyberのことでしょ?どこがCyber?しかし、私の好みであろうと推測して、連れてきたのが、小奇麗趣味の男の子向けお店であったという点に関して、「桃山ロリータ」の目は確かです。私が長身で細くてスタイルが良かったら、絶対に着るであろう類のデザインばかりです。まあ、宝塚の男役みたいなファッションですね〜〜ほほほ。

ワイン色のベルベットもどきの生地(いわゆる別珍ですね)に、背中や胸のあたりに、GRAVEだの DIEだの HATE THE WORLDだのと金色ながらも、物騒で不吉な文字が描かれているブルゾンがカッコいいので、私は購入しました。試着なんかしません。着れなかったから、男子学生にあげればいいんだからさ。ここの若い男性の店長さんは、お化粧していました。そんなこと、いまどき当たり前か。

案の上、このブルゾンが細身で私には少し窮屈だったんで、たまたま研究室に来たワルガキ硬派系の男子学生の目の前に、このブルゾンを広げて、「これ、着ない?」って訊ねたら、「センセイ、路線ってものがありますから。僕の路線じゃないです」って言いやがった。だから、いつもneatにお洒落に決めているゼミの男子学生にあげた。な〜〜にが「僕の路線」だ〜〜JR阪和線(大阪と和歌山を結びます)か泉北高速線(という第3セクターの電車路線が泉州にはある)にでも乗ってろ!!

しかし、最近のこういうお店は、昔みたいに紙袋に入れないんですね〜お店の名前やロゴの入った布製の無造作ながらお洒落な袋に入れてくれるんですよ。2本の取っ手がついた軽い薄い袋です。こういう布袋を集めるのも、カッコいいんだそうですよ。

次に向かったのが、またロリータ系の「Angelic Pretty」です。どうしよう・・・このお店に関しては印象がない・・・記憶にない・・・なんでだろう?きっと「天使みたいに可愛い」お店だったとは思うのですが。

次のお店が、普通の居住用マンションの一室にある「Innocent World」です。ロリータ系の中では、Babyのお店と並ぶようなバランスの良い商品が並んでいます。なかなか、品のいいお店です。パラソルが素敵だったなあ。色のヴァリエイションは、Babyよりも、はるかに豊かです。

次が、「あのお店ならば、センセイでも着れるのがあります!」と「桃山ロリータ」が太鼓判を押した「Metamorphoses」(あれ?単数形のMetamorphosisだったかな?)です。このお店は、目立たないビルの2階にあって、知っている人しかわからないような隠れ家みたいな趣のお店ではありますが、ロリータ系お店としては、メジャーです。

だいたいが、ロリータ系のお店は、すべからく、どこにあるのやら、よくわかりません。小さなビルの2階とか、マンションの5階だとか7階だとかの一室や、地下とかにありまして、案内役がいなくては、絶対にたどり着けない感じです。売り場面積もとても狭いです。当然、サイズ展開が豊かなはずがありません。サイズはMかLしかなくて、LLも3Lもありません。というか、ワン・サイズしかないお店のほうが圧倒的に多いです。「Metamorphoses」だって、サッと目を走らせれば、私が着れるようなサイズなど絶対にない!ということは、簡単にわかります。別に期待もしておりませんでしたが。

しかし、さすがメジャーの「Metamorphoses」です。なかなか素敵な商品ばかりです。センスは非常にいいし、デザインや色、種類のヴァリエイションも豊かですし、子どもっぽくもないです。「桃山ロリータ」は、ここで鮮やかなグリーンのベルベット風別珍のドレスと、それに合わせたヘッドドレスをgetしました。グリーンかネイヴィーかワインか、決定するまでに、彼女はえらく迷っておられました。女の子って、あんなに迷うものなの?私は、昔から、着るものも食うものも男も、何につけても選ぶのも決めるのも早いのであります。

そういえば、妹も、洋服選ぶとき、随分と迷っていたなあ・・・と私は懐かしく思い出していた。白いシルクの襟がついた茶色の(本物の)ベルベットのワンピースに、ベージュのベレー帽を私が選んで、妹が着ていたのは、妹が短大時代だったかな?高校生の頃かな?と思い出していた。あの頃は妹も可愛かったよなあ・・・女優の仁科亜紀子(名前の字が違うかも)に似ていた美人の妹が、今みたいなオバハンになるとはなあ・・・いや、ほんと無常だわ。自分の年齢は忘れて、妹とか昔の学生って、いつまでたっても昔のまんまだと、私なんか錯覚しているから、変貌には驚きますわ。「他人のこと言えるか!」というつっこみは、このさい、私の耳には聞こえない。

しかし、この素敵な「Metamorphoses」より、さらに格段に素敵なのが、「Emily Temple Cute」です。「Milk」です。このふたつは、別格なんでしょうか?価格も高いほうだし、商品は限りなく少ない。その少ない商品が、美術品みたいに陳列されています。

「桃山ロリータ」によりますと、商品は、デザイナーによるスタイル画の段階から予約を受け付けていて、店頭に並ぶ前には、すでにして売り切れているのも珍しくないそうです。なんだ、それ?もう、まったく「知っている人だけが知っていればいいのよ」の世界です。顧客開拓なんかする気がありません。

このふたつのお店も、ビルの一室にありまして、「Emily Temple Cute」のお店の奥が、「Milk」でありまして、お店の外からは、「Milk」がどこにあるか、わからない造りです。「来るべき客だけが来い」ということですね。だから、店員さんは、入ってきた客が御常連さんでなければ、気の抜けた可愛らしい声で挨拶するだけで、いっさい関知せず、優雅に無関心に、ボ〜〜と店の端っこで突っ立っております。「ある種の女の子の潔癖な頑固さ」全開なのが、ロリータ・ファッション系のお店の店員さんの共通項です。こういう「美意識の要塞」みたいなミクロコスモスに立て籠もる女の子たちって、独特の表情をしていますね〜〜ロリータという寺院の巫女さんみたい。

それにしても、「Milk」の商品のセンスの良さはすごいです。美しくて、繊細で、洗練の極みです。ほとんど退廃的です。日本の平凡な日常に対して冒涜的なまでに、「あたしは500パーセント綺麗なの!」と、黙って高飛車に主張しています。あんなの着て似合う女性がいるんだろうか?こんなの着てトイレに行っちゃ駄目!と思わせるぐらい、浮世離れしています。私は、「Milk」の、タタミ2畳分もないくらいの狭いお店に入って、「うわお〜〜」と、賛嘆の声を上げてしまいました。

みなさんは、信じないでしょうが、私は、これでも根は、「芸術系」なんですよ。高校の頃に受けた適性テストは、何度受けても、適性職業が「デザイナー」で、適性大学は「東京芸大」だったんですよ。ほんと。貴族の娘じゃあるまいし、芸大なんか進んだって、食ってはゆけないので、テスト結果なんか参考にしなかっただけです。ガキの頃は、クレヨンでテキトーに描いた絵が、名古屋市長賞取るぐらいで、だいたいが、資質としては視覚系芸術派なんですよ。だから、センスはあるんですよ。「わかる」んですよ。ただ、そうは見えないだけなんですよ。とっても奥ゆかしいですね。

次に行ったのが、ゴスロリ、つまり「ゴシック・ロリータ」系の「Alice Hour」です。ビルの地下の一室にあります。ドラキュラ系の中世のお城に閉じこもっています〜みたいな、たとえば、『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイヤ』に出ていた(少女時代の)キルティン・ダンスト扮する少女が着ていたドレスを思い出してください。ああいう感じのドレスとか手袋とかが売っています。怖いですね〜〜店内は「西洋お化け屋敷」のムードです。骸骨とかミイラみたいなマネキンが飾ってあって、薄暗い。ああいうところでアルバイトしている女の子は、運が必ず悪くなるぞ〜〜〜不幸になるぞ〜〜って感じです。空気が薄くて悪いです。私は、酸欠を感じたので、ここは早々と退散しました。

ロリータ系10店、関係ない系2店の計12のショップ見学を終えて、3人で食事して、ちょっとCDショップに立ち寄って、「桃山ロリータ」のお気に入りの「アーティスト」(Hydeとかいう変な名前の男の子)の顔を確認して、「えらいベタなのが好きだね〜〜あなたの男の趣味は、わかりやすいね〜〜」とからかった後に、スターバックでコーヒー飲んで、帰宅したときは、だいたい夜の10時頃だったかなあ〜〜くたびれた・・・・

みなさん、私は、つくづく、しみじみ思いましたよ。いまどきの時代に、私は、若くなくてよかった・・・と。ロリータ・ファッションひとつとっても、あれだけ細分化されているのです。多様化しているのです。差異化しているのです。「今、ひとつだなあ・・・」と思って、買いたいけど買いたいものがないという状態ではないのですよ!細分化されているから、必ず、欲しいものは、あるんですよ!必要なのは、その商品を購入する「お金」だけなんですよ!

私の若い頃は、センスのいいものは、ともかく高かった。もしくは、欲しくたって、売っていなかった。天地真理(あ、知っていますか?70年代初頭に人気のあったアイドルです)が受けると、売っているのは、みな天地真理が着るみたいな「安っぽい白雪姫」みたいな、「田舎のお店のフランス人形が着ているドレス」みたいなものばかりだった。そんなもん誰が欲しいか?!名古屋あたりだと、ほんとに多様性がなくてさあ・・・何かが流行すると、それしか売ってなかった。

あの頃は、オーダーも高かったから、学生では手が出なかった。今では、イージー・オーダーで3万円台くらいからスーツ作ってくれるお店もあるけれど、70年代の10万円代は大金でしたからねえ〜。私立大学の授業料が半期7万円の時代でしたから。国立大学の授業料は年額12000円でしたから。一月1000円でっせ〜〜

それか、昔は、サイズがなかった。しかし、今はサイズも豊富だし、何よりも、今の若い子はスタイルもいいから、サイズがなくたって十分に着こなせてカッコいい。「ジャスト・サイズ」がないということはあっても、サイズがない、ということは断じてない。

また、経済のグローバル化のために人件費の安い国で縫製されるから、今の衣服は、ブランド品でなければ、価格も安い。衣料品は、確実に1980年代より安い。70年代は、ドンドン物価が上昇していくという感じがあったし、80年代後半はバブル期で、その価格はもっと上がった。しかし、その価格が、90年代後半から、目に見えて下がってきた。21世紀になったら、もっと安くなってきた。ロリータ・ファッション系お店を探索して、いちいち値札を確認して、「これが12000円かあ・・・へえ・・・安いよなあ・・・」と、私は独りブチブチ言っていた。

ともかく、大昔は、欲しい商品がないのだから、学生では手が出ないのだから、お洒落はテキトーにあきらめて、勉強しようか・・・ということになったが、現代では、アルバイトで稼ぐお金でも買える程度の価格の、すごくセンスのいい素敵なものが、いっぱい売っているのだ。これでは、アルバイトのお金は書籍に使われることはないよ・・・あの魅力的なモノの氾濫に、免疫のない若い子がどうやって抵抗できるだろうか?

若い女の子がモノ欲しさ、ブランド品欲しさで、援助交際に走るのも、無理はないのかもしれないなあと、私は初めて思った。あのモノの攻勢に負けないためには、生来の資質が必要だぞ。つまり、頭が悪いと、志や目的が低いと、あの素敵なモノの氾濫に負ける。絶対に負ける。消費しているだけで、暇がつぶれるのが現代なのだ。また、普通の学生が、消費を楽しめるぐらいに、今の商品はさして高価でもないのだ。「100円均一時代」だしなあ。それぐらいに、大阪は心斎橋のアメリカ村には、面白い商品が限りなくあった。

先日、いまどきの若い子には珍しく読書家の学生が、「みんながアルバイトして買うものって、洋服ですよ」と言ったので、「女の子ならばそうなるんじゃないの?」と私が答えたら、「男が、ですよ!」と返されたが、なるほどなあ・・・いまどきの男の子は、ジャニーズ事務所の綺麗系の男の子が男だと思って育った女の子に対処しないといけないので、お洒落をしないといけないのだ。大変であるなあ・・・・昔の男子学生なんて、毎日同じもの着ていて平気でしたよ。女の子も男の子のファッションなんか気にしなかった。外見を構わない男の子は、男らしい男の子として肯定的に認知されていた。

たたでさえ資質が悪いうえに、着るものばかりにかまけていては、それでは、頭もドンドン悪くなるよなあ・・・教室で、読書の習慣を身につけて、勉強しておかないと、中年過ぎに惨めなんだぞ〜〜金はできても教養がない人間って、その金の使い方もわからないんだぞ〜〜教養がなくて心が浅いから、くっだらないことにしか金を使えなくなるんだぞ〜〜ともかくは、まずは勉強なんだよ〜〜金は、貯めることの次に、どう使うかってところに、人格が出て来るんだよ〜〜と言っても、学生さんは聞くはずないよなあ・・・

あのアメリカ村を見学して以来、私は、すっかり学生たちに同情的になりました。私が、今の大学生ならば、やっぱりモノの魅力に負けていただろう。消費することだけで、とりあえずは満たされてしまう安易さに溺れていただろう(あ、でも、やっぱり飽きていたかなあ・・・?)。それぐらい強烈ですよ、今の時代の商品の豊富さと多様性と差異化は。この「人間の頭をドンドン平板に浅はかにお馬鹿にする」状況を生きる学生さんの心に届くような、どんなことが、教師は言えるのか?私は言えるのか?

「やっぱり金ですよね」と学生は言う。「そうだよね、金という現実は直視しないとね。誤魔化してはいけないよね。金でだいたいの幸福は買えるしね。だから、ちゃんと稼げるような人間になるために、勉強しようね。他人をあてにしないでも食ってゆけるような人間になるのが、自立だからね」と私は答える。

しかし、そう答える私は、金なんて特別に追っかけなくても、この世の中で必要とされる知識なり技術なりを身につければ、食ってゆけると思っている。食ってゆけるだけ以上の金が必要なのは、疲れたときにはタクシーでぶっ飛ばすことができるぐらいの選択と裁量の自由を手にしていたいからだし、教養や体験という情報をコンスタントに入手していたいからだし、他人を助けることもできるからだ、と思っている。自分も他人も愛していたいから、そうすることで自分からも他人からも愛されたいから、金が必要だと思っている。アメリカ村の商品が欲しいから、金だよね〜と思っているわけではない。

ロリータ・ファッションのお店探索だけのつもりだった「アメリカ村」見学は、いろいろ私に考えさせることになりました・・・・ほんと、学生さんに教えられることの多い今日この頃であります。ありがたいことでございます。ラーメン。