アキラのランド節

『山陽新聞』備後版のコラム原稿です(その7)  [12/02/2012]


唐突に「お願い」から始めます。

もし、アイン・ランドに関して質問とかあって、このウエッブサイトのアドレスAynrand2001japan@aol.comにメイルを下さる場合は、ちゃんと自己紹介していただけませんか。

男性に多いのですが、いや、こういうことするのは、必ず男性なのだが、名前だけ言って、あれを教えろ、これを教えろ、とメイルしてくる。

そういう非常識な人には返信しません。日本の男だからといって、甘えていいってもんじゃない。日本の男にも、常識やマナーは必要です。日本の男だから、馬鹿でいいんだ、ってことはありません。

たまに、私も親切心がわいてきて、「自己紹介もしないで、他人に質問して、答えてもらえると前提できるような、その厚かましさはどこで学習したのですか?」と返事する場合もある。

そうすると、「文字化けしていたので、再送をお願いします」と返信が来る。

アホらしくて無視。

何度も書きます。男だからといって、甘えちゃいけない。自分で調べればわかることを、安易に他人に質問しない。ちゃんと簡単でもいいから自己紹介する。そんなの常識だろう。脳タリンの大学生じゃあるまいし。

私が勤務している大学の学生ならば、私は給与を得ているのだから、教える義務がある。でも、不躾で厚かましい他人に親切にしているほど、私は暇じゃない。

ところで、本日の「ランド節」も、『山陽新聞』備後版に不定期で掲載しているコラム「芦田川」の元原稿を3回分掲載です。実際に掲載されたものは、記者さんの検閲、および訂正などが入っておりますが、ここに掲載されるのはオリジナルな原稿です。

その前に、前回の9月下旬以来の秋に、私が「生まれて初めて経験したこと」を忘備録的に書いておく。

還暦寸前になっても、やはり何につけても「初体験」というのは、心踊る。

まず、10月7日(日曜日)に、生まれて初めて「原子力発電所」を見学した。

同僚の三重大学名誉教授の渡邊明教授は、今も三重大学工学部の大学院に出講なさっておられる。その大学院のクラスが、例の稼働停止中の静岡県の「浜岡原子力発電所」見学に行くことになった。工学部のエネルギー政策というテーマ研究の一部として特別見学に行くことになった。で、私は、厚かましくも同行させていただいた。ありがとうございました、渡邊先生。

非常に、非常に、非常に、非常に勉強になった。浜岡原子力発電所は、来年4月の再稼働に向けて、さまざまな、これでもかこれでもかというような多様で、かつ多重な防備をしている。

津波に備えての、建設中の30メートルの高さの防御壁の工事現場も、ヘルメットかぶって見学させていただいた。集中管理のシミュレーションルームも見せていただいた。まさに・・・NHKの往年のTVドキュメンタリー番組『プロジェクトX』の世界であった・・・

ぶっちゃけて言うと・・・高度な科学技術って猛烈にカッコいいな!!!それを追求する人間って、すごいな!という低能な小学生みたいな感慨が深く残った。ほんとに低能だな。

次の初体験は、10月16日(火曜日)は、生まれて初めて伊勢神宮の「御垣内」(みかきうち)参拝をしたことだった。

10月16日(火曜日)は、授業を同僚に代わってもらって(チームで動いているんで)、神嘗祭(かんなめさい)まっさいちゅうの伊勢神宮まで行った。外宮(げくう)においても内宮(ないくう)においても、生まれて初めての「御垣内」参拝をした。

「御垣内」ってのは、一般参拝客が柏手を打つ鳥居より、奥、内側の玉砂利が敷き詰められた空間のことです。ここには、遷宮寄付をすると入ることができる。遷宮寄付は、1000円から受け付けてくれる。

「御垣内」といっても、いろいろあって、外玉垣南御門外(とのたまがきみなみごもんそと)と、中重御鳥居際(なかのえのとりいきわ)と、内玉垣南御門外(うちたまがきみなみごもんそと)の三種類がある。

10万円以上遷宮寄付すると、中重御鳥居際まで入ることができる。100万円以上寄付すると、内玉垣南御門外まで入ることが許される。

私は、何度も伊勢神宮に行ったことがある。桃山学院大学勤務時代には、何回も、外国人留学生を連れて行った。お玉串を奉納して、祈祷していただいて、お神楽を奉納して、「日本文化」の一端を彼らや彼女たちに見せた。といっても最低価格の15000円コースですけど。

「大神楽」は50分間のお神楽、舞楽(まいがく)ですから、100万円出さないと〜〜〜2時間にわたる神楽、舞楽(まいがく)ですと、1000万円でございます!!

ともかく、御垣内参拝は初めてだった。正式参拝である御垣内参拝は、ドレスコードがうるさいからね。華美な服装だめ、ブーツだめ、黒いスーツとかワンピースとかの正装でないと許可されない。遷宮寄付しただけでは、入れないのだ、正装でないと。面倒くさいでしょーが、そんなもん。

では、なんで今年の10月16日に限って、正装(?)して出かけたのか??

ここに、また同僚の三重大学名誉教授の渡邊明教授が登場する

渡邊明教授の研究テーマは、「農工商連携プロジェクト」構築である。

「農工商連携プロジェクト」つーのは、要するに、工学部が開発した技術を使って、第一次産業の農業や漁業で、従来ならば廃棄してきた材料を生かして、商品にするということだ。

工学部と第一次産業と企業の「結節点」にいるのが、渡邊教授である。このお立場は、コンサルタントともちょっと違うし、なんと呼べばいいのか。

ともかくも、渡邊教授の推進する「農工商連携プロジェクト」に参加する食品企業が、自社製品を伊勢神宮に奉納することが、伊勢神宮より許可された。去年のことだ。

神嘗祭のときに伊勢神宮に奉納するには、いろいろいろいろ審査とか大変だそうです。手続きが。伊勢神宮というのは、日本神社業界の超エリート、「霞が関」みたいなもんだもんね。そりゃ、うるさいよね。

今年も、渡邊教授の推進する「農工商連携プロジェクト」に参加する14の企業の社長さんや役員さん、社員さんたちが一堂300人以上集まって、「チーム渡邊」となり、伊勢神宮の内宮の集団御垣内参拝をすることになった。

で、私は、「フジモリセンセイも、どさくさに紛れて我々のプロジェクトの一員となって、内宮の御垣内にはいったら、いかかですか?めったにない経験ができますよ」と渡邊教授から、お誘いをいただいた。

ならば是非とも・・・ということで、私は他の同僚とともに、ついでにうちの亭主も引っ張りこんで、「チーム渡邊」に紛れこむことになった。

が、しかし、私は、本来ならば、遷宮寄付しないと入れない御垣内に、ひとさまのプロジェクトの一員みたいな顔して、無料で紛れこむのは、あまりに畏れ多いと感じた。だから、まずは、きちんと、御垣内参拝できる資格(?)を個人的に得ておこうと思った。

人間に嫌われるのは構わんが、神霊に「図々しいよなあ、こいつ・・・」と思われるのはいやだ。

というわけで、10月16日は、名古屋の自宅を朝の6時に出発し、朝の9時前に伊勢神宮外宮に到着し、「遷宮寄付」して、「特別参宮章」というカードをいただき、外宮での御垣内参拝を、生まれて初めて、することができた!!

感動でした・・・・

やっぱり・・・・御垣内参拝というのは、一般参拝とは違いますね・・・

1万円寄付したからね、平成28年内までならば何度でも御垣内参拝ができるよ。また正装して行くべ!! 「憧れの理想の恋人」に会いに行くような気持で、正装して行くべ!!

ちなみに、遷宮寄付金が1万円以下だと、1回しか御垣内参拝できません。昔は、一般ピープルが参拝なんて、許されなかったそうですよ。

外宮での生まれて初めての感動の御垣内参拝を体験してから、私は内宮に急いだ。

そのあと、青空のもと、私は晴れて、内宮御垣内参拝もさせていただいた!「チーム渡邊」に紛れこみ、「永平寺御用達 団助胡麻豆腐」という企業の社員のような顔をして、「伊勢神宮奉納団」の一員のような顔をして。

ついでに、50分間の「大神楽」も堪能させていただきました。15000円コースですと、巫女舞だけですが、「大神楽」ですと、若い貴公子の舞楽とか、仮面つけての舞楽とか、各種いろいろ登場します。衣装も、とてもとても美しいです。

残念ながら、撮影禁止なんだよねえ・・・

踊りをしてみたいと思ったことは一度もないけれども、あの舞楽はやってみたいなあ・・・

おみやげに、「特製赤福」もいただいた。これは、ふつーに売っている「赤福」と同じ「赤福」じゃない。スペッシャルに美味な「赤福」なんです!渡邊教授と伊勢の名物「赤福」の会長は懇意の間柄である。それで、私まで、「スペッシャル赤福」を拝領することができた。

まあ、単に出席するはずの某食品企業の社長さんが欠席したんで、その社長さんがいただく予定だった「スペッシャル美味な赤福」を、私がくすねたということなのですが。

あんな美味しい「赤福」は初めてだった・・・材料がまったく違うんだな、きっと。渡邊明先生、貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございます。

さて、次の「初体験」は、11月10日&11日に開かれた福山市立大学第2回大学祭「港輝祭」(こうきさい)での「女装男装コンテスト」の女装部門出場者の黒幕&スタイリストだった。

「女装男装コンテスト」の女装部門出場者が足りないとFacebookで、福山市立大学の大学祭実行委員会のメンバーの女子学生が嘆いていた。で、私は、女装したら綺麗になるであろうと二人の男子学生に魔の手を伸ばした。

ふたりに「何でもチャレンジよ〜〜〜女装してみない?必要なものは私が調達するからさあ〜〜」と勧誘したら、ふたりとも不用心に乗ってきてくれた。

見よ!! Behold the Man!! まずは、都市経営学部2年生の中国人留学生の変身を!彼が身につけているものは、すべて、ブラジャー、ストッキング、ドレス、ウイッグ、アクセサリーみな、私が用意したものであります。

あ、横に写っている「携帯電話持っている黄緑色のデブのオバハン」が、私です。

場所は、福山市立大学アリーナの隣室のシャワー室兼更衣室であります。男子用トイレではありません。同僚の女性と、そのお嬢さんが、メイクを担当してくださいました。ありがとうございました〜〜〜♪

ね〜〜〜〜綺麗な上品なレディになったでしょう??彼は、「女装男装コンテスト」で第3位を獲得しました。

次は、都市経営学部1年生の男子の女装姿です。これまた、彼が身につけているもののすべてが、私の提供物であります。アメリカのブランドのダイアン・フォン・ファーンスタインのドレスが、良く似合っているわ・・・

やっぱり、女性も身長170センチ以上はないと、「洋装」というものは決まらないのかもしれないねえ・・・嘆息。

この写真は、ゴールデンボンバーの「女々しくて」を熱唱して踊っているところです。サイズ27.5の赤いハイヒールの靴を脱いで、踊りました。すっごい高さのジャンプをしました。猿飛佐助か。忍者か。

後ろで踊っている可愛い女の子たちは、中学生です。この男子学生がアルバイトしている「セブンイレブン」での同僚(?)である女性(私のFacebook友だちでもある)のお嬢さんとお友だちです。カッコいいよねえ。

しかし、ほんと若い子は、足も長いなあ・・・

私が、こんなに足が長かったら、毎日毎日、めいっぱいオシャレばっかりして繁華街を楽しく歩きまわっていたんじゃないか。勉強なんか、なんもしないで。

足が短いと、長時間歩くと疲れる。だから本でも読んでいるしかない。私の人生は、これで、良かったのであろう・・・

彼は、このパフォーマンスのど派手さと、女装の美しさのゆえに、「女装男装コンテスト」で第一位を獲得しました!!

はははは〜〜〜♪ は〜〜面白かった!

来年は、誰を女装させようかな。

次の初体験は、大学祭の2日目11月11日に開催された「福山市立大学祭第一回英語プレゼンテイション・コンテスト」の企画・運営・司会だった。

11組17人の学生さんたちが「福山市立大学祭第一回英語プレゼンテイション・コンテスト」に参戦してくれて、パワーポイントで作成した資料をもとに、10分程度の英語によるプレゼンを競い合った。

テーマは、「福山市駅前再開発」だの、「香港の現在」(発表者のお母さんが香港人)だの、「中国の都市化の問題」(発表者は中国人留学生)だの、「日本の携帯電話の世界基準化への道」だの、「岡山県の第三次産業」だの、「ラルク・アン・シェルの市場戦略」だの、「吉本ばななと村上春樹」だの、「短期語学留学で考えたこと」だの・・・

感動でしたね・・・やっぱり、うちの大学の学生は資質がいいわ・・・

まあ、どこの大学でも上位2割は優秀だけれども。

参戦者の学生さんたち、よく頑張ってくれた。直接の指導は、ロンドン大学修士課程修了の同僚の特任教員が担当しているが、私も前日午後10時まで駄目だしをした。

当日は、みなスーツでビシッと決めて、堂々とプレゼンテイションしてくれた。練習のときより、本番のほうが良かった。今の若い子は、本番だからこそ、臆さずに全力を出す。笑いをとりながら、話を進めてゆく。頼もしい!!

2年生の中国人留学生の舞台度胸の良さには驚いた。普段は静かにボケ〜〜〜としているのに。やっぱり、中国人ですわ・・・あの度胸は日本人には少ない。

彼には、別の大学に通う中国人の彼女がいる。可愛いらしい情のありそうな感じのいい女性だ。彼女は、iPadで、プレゼン中の彼氏の雄姿を撮影していた。ほほえましい風景だった。いいなあ〜〜〜青春だなあ〜〜♪

最優秀賞5万円、優秀賞2万円、入賞2名で各1万円、学長特別賞1万円。参戦者には、もれなく参加賞(e-learningの外注をしているアルク教育社からの寄付である英語教材と、クオカード1000円分)。

さらに、英文表彰状のデザイン&作成&印刷。英文表彰状を入れるホルダー購入。賞金用の金封つき熨斗袋に印字。あとコンテスト撮影およびDVD作成を担当してくれた学生さんへの謝礼。

全部で経費は、17万円ほどかかった。

今回の経費は、大学祭実行委員会からの補助5万円と、学長や非常勤講師の先生からの寄付、アルク教育社からの寄付、および私からの寄付でまかなった。

が、私が退職後のことを考えると、私の定年退職前に、カネがなんとかなる仕組みを作っておかないといけない。せっかく軌道に乗せた「福山市立大学祭英語プレゼンテイション・コンテスト」を継続できなくなる。

なんとか、「福山市長賞」とか「福山商工会議所賞」とかも設定して、寄付を募る範囲を広げたいと思っている。

「福山市立大学祭英語プレゼンテイション・コンテスト」に来て下さった福山市民の方々や同僚の評判も良かったので、なんとか毎年充実したコンテストを開催したいと思う。いずれは、私は裏方に徹して、学生さんに司会も委ねたい。

学生たちには、福山市立大学に来て、いろいろ体験できた!!と思って、卒業してもらいたい。

今まで英語教師として、やってみたかったけれども、諸事情でできなかったことを、福山市立大学で働いている間に、全部やりたいよ。

さて、「今年の秋初体験メモ」はこれくらいにしておこう。以下は、おなじみ恒例、「山陽新聞」備後版に不定期掲載のコラム「芦田川」の元原稿です。

今回は、「コメント」は短くしておこう。

<第19回 9月22日掲載  「インターネットで確認」の元原稿 >

インターネットが、政府の見解や新聞やテレビなどの既成メディアの報道によってだけでは知ることができない事柄に関して、ユーザーが情報交換しあう場となって久しい。

もちろん、インターネット界も玉石混淆だ。匿名で書き込む掲示板やブログの類には、根拠もないスキャンダルや中傷や、品位のない罵詈雑言や、デマ情報が書き散らされている。

しかし、堂々と実名で運営するウエッブサイトやブログや、これも実名で素性を明らかにして参加するフェイスブック(facebook)などのソーシャル・メディア・ネットワーク(SMN)は、既成メディアが報道する(もしくは報道しない)事件や国際紛争について、より詳しい情報や分析を提供している。

たとえば、現在、尖閣諸島をめぐる反日デモで揺れる中国に関する報道が熱い。日本企業の工場がデモ隊によって破壊され、日本料理店が投石を受ける映像が繰り返し放映されている。これらの映像を見る視聴者は、中国人全部が日本に敵対して大騒ぎをしていると思うかもしれない。

ちょっと、インターネット界をのぞいてみよう。そこには、さまざまな情報が在る。中国人が発信した情報も在る。その中国人発信情報を日本語訳した情報がインターネット界を駆け巡る。

「中国の一般市民たちはデモに批判的。デモへの不参加を呼び掛けている」とか「すべてのデモは、事前に組織されていて、参加者はバスで同時行動しているし、その参加者は軍人か武装警察だ」とか。また、「こんどの反日デモは、中国政府内の保守派が改革派に反撃するものであり、尖閣諸島問題は口実」とか、「一般市民は日本企業や在中日本人に同情している」とか。

事の真偽は、正確にはわからない。しかし、国際紛争の実態についてインターネットで確かめる人間は、とりあえず、今回の反日デモは、中国の国内問題が原因であるらしいと知る。だから、安易に中国を敵視することを避ける。あらためて、政府と国民は違う、ということも認識する。

<コメント>

  うちの大学の中国人留学生(プレゼンコンテストに出場して、学長特別賞を受賞した)に言わせると、「誰も反日運動なんかしていない。反日デモなんて一部の人間がやっているだけ。中国国内では何も報道されない。中国の中国人は中国がどうなっているか知らない。中国には民主主義や自由はないから。僕は日本で報道されている中国のことを、親や友人に教えている」だそーです。

その日本のメディアが報道する中国についてのことだって、事実かどうかわからないけれどもね・・・

<第20回 9月30日掲載  「ペットは飼い主の鏡」の元原稿 >

アメリカのテレビ番組は、よきにつけ悪しきにつけ非常に面白い。連続テレビドラマの中には、悪魔的なほどに脚本が面白くできているものもある。もし私がアメリカに住んでいたら、いつもテレビばかり見ているに違いない。

日本にいて、ほんとうに良かった。つまらない日本のテレビ番組には、このままずっと、つまらないままでいてほしい。貴重な人生の時が浸食されずにすむから。

アメリカのテレビ番組で特に面白いのは、日本でも視聴することができるフォックス・テレビの『カリスマ・ドッグトレイナー』だ。ペットの犬が、やたら吠えたり、攻撃的だったり、獣医のところで静かに診療を受けなかったりなどの問題行動が多い場合の対処方法を、シーザー・ミランというプロの調教師が教えてくれる。

たとえば、飼い主が孤独感や不安や恐怖を抱えていると、ペットの犬に心理的に依存してしまい、犬を甘やかしてしまう。すると犬は、自分の飼い主を自分のリーダーであると認識せずに、やりたい放題をして、家族のみならず近隣に害を与える。

ペットとは、自分で自分の餌を獲得することを学習できなかった生き物である。人間に依存しないと食べてゆけない絶対的に哀れな存在である。だから、人間生活や社会に適応できるような躾を受けることができず、人間にとって脅威になったペットは、破棄処分されるしかない。

結局、飼い主の人間としての未熟さがペットを追い詰める。ペットに対してほんとうに愛情があり、責任を感じているのならば、ペットをきちんと躾けるはずだ。ペットがエネルギーを持て余して攻撃的にならないように、散歩したり走らせたりするはずだ。

ペットは、人間の沈着冷静な断固としたエネルギーによって制御される。大声でわめいてもダメだ。つまり、『カリスマ・ドッグトレイナー』は、犬ではなく、犬の飼い主の人間性を鍛える啓蒙番組なのだ。子どもの問題が親の問題であるのと同じように、ペットの問題は飼い主の問題である。

<コメント>

残念ながら、この『カリスマ・ドッグトレイナー』を、今は視聴していない。BSのFoxテレビが、有料になってしまったから。Facebookやって、テレビ観ていたら、勉強する時間がないよ。無料で観ることができるのならば観るけど、有料ならば観ないよ。

だけどまあ、ほんとにアメリカのテレビ番組って面白い。愚民の暇つぶし道具として、愚民に何も考えさせない支配の道具として、洗脳装置として、非常によく機能しております。

だいたい、犬が言うこと聞いてくれないって悩む、郊外の住宅地の白人の奥さんなんて・・・バッカじゃないの?どこまで暇なんだ。

<第21回 10月14日掲載  「いざというときの聖書」の元原稿 >

私は、『聖書』という書物を真剣に読んだことが一度だけある。それは、去年3月11日の東日本震災が起きてまもなく福島の原子力発電所事故が報道された後のことだった。

私は慌てた。原子力に関する知識など何もない私は、無駄に恐怖で落ち込んだ。炉心が爆発して、巨大なきのこ雲が立ち、放射性物質が空高く拡散し、日本列島を分厚く覆い、空気も水も食物も汚染されて、血を吐きながら死ぬかもしれないと想像した。

歴史始まって以来の日本の危機だ、空も海も壁はないから汚染はすぐに広まる、西日本だけ無傷などということはありえないと、夜は眠ることができなかった。

お節介にも、横浜在住の若い友人や教え子には避難を勧めた。「とりあえず西に避難したらどうか?パスポート忘れずに。海外に逃げないといけないかもしれないから」などと電話で話した。東京から関西に避難してきた知人の女子大学生と会ったりした。

落ち着きたいので読書しようと思った。しかし、読める本がなかった。未曽有の危機のときに読む本は、未曽有の危機について書かれた書物でなければならない。しかし、未曽有の危機は、いまだかつてない危機という意味であるので、そのような危機について書かれた本があるはずがない。

その時に再発見したのが『聖書』だった。『旧約聖書』だった。形もなにもない深い闇から神が出現し、光ができ、昼と夜ができ、火ができ水ができ、朝と夕方ができ、大地と海ができ、草花ができ、ついには人類が生まれる創世記から読んだ。『旧約聖書』に、淡々と描かれた多くの王国の盛衰は、私の恐怖心を和らげた。「人間も国も、こうやって生まれて滅んでいくんだ、いいじゃないか、別に・・・」と思った。歴史を超えた空間に立って、狼狽している自分を突き放して眺めているような気分になれた。

いざというときに慰めとなった書物が、『聖書』だったというのは、面白いことだなと今でも思う。キリスト教徒になる気は全くないけれども。

<コメント>

「聖書」つーけどさあ、要するに、あれ大本教の出口王仁三郎の『霊界日記』みたいなもんよ。岡本天明の『日月神示』みたいなもんよ。

「幸福の科学」の教祖さんの「霊言」シリーズだとまでは、そこまでは言わないけれどもさ。

ほんとうに神が存在するならば、人間なんかに話しかけたり、お告げしたりなんかするはずない。自動筆記で、神託を書かせるなんてするはずない。そんな暇で下世話な存在は、神ではないだろう。狐さんかタヌキさんか蛇さんの霊じゃないですか?

人類は、かくも巨大なる迷妄のもとに何万年も生きてきた・・・

3月11日の東日本大震災の地殻変動のショックと、その後の東電原子力発電所の事故で日本中に拡散した放射性物質のせいで、私の脳が刺激されたのだろうか。そのおかげで、長き長き長き迷妄から醒めたのだろうか。

私は、あらためて、もう自分の外部に依拠することはやめた。

東日本大震災後の復興の異常で故意の遅れと、東電原子力発電所の事故後の混乱と支配層の無責任と腐敗ぶりを垣間見たら、そうならざるをえない。

犬は吠える。しかしキャラバンは進む。

天変地異だろうが、経済危機だろうが、ハイパーインフレだろうが、寒冷化だろうが、食糧危機だろうが、軍事衝突だろうが、何が起きようが、私たちは生きていくのよん。

人類の破滅?歴史の終わり?そーいうロマンチックなことは起きない!!淡々と日常は続くのよん。洗濯して、トイレの便器を磨いて、お米を研いで水につけて、常備菜を作って冷蔵庫に入れておくのよん。