書評    Almost Monthly Book Review
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■2002年11〜12月に読んだ本から

池谷裕二
『だれでも天才になれる科学的勉強法』
ライオン社 2002.8 \650


ライオン社の本である。『早慶時代』のライオン社である。早稲田や慶応志望の私立大学専願組受験生だった私には、懐かしい出版社である。九五ページの薄い本である。大学受験生向けの学習法本であるが、それ以上の本である。必読課題図書として学校は指定するべきだ。社会に出てからの、この世の渡り方にもバンバン応用できる実用書である。自己教育用本でもあるな。

まず大局を理解する。次に一科目を得意科目にする。「ある分野の理解の仕方を覚えると、ほかの分野に対する理解の仕方まで上達する」のを「学習の転移」と呼ぶそうだ。記憶には「知識記憶」と過去の経験が絡んだ「経験記憶」と、体で覚える「方法記憶」の三種類があるそうで、最後のものが忘れにくくて根強い。天才的能力とは、この方法記憶=魔法の記憶のことだそうだ。著者は、新進気鋭の大脳科学者であり、海馬の研究で知られた方です。池谷祐二・糸井重里『海馬---脳は疲れない』(朝日出版社)も読むと楽しい。こういう本は、若い子より中年が読むといいんだ。脳は疲れない!消耗しない!永遠に成長する!


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